最終形の茶色

インドにホーリーっていうお祭り期間中に行ってきた。ざっくりいうといろんな色の粉や色水を他人に掛け合うというはちゃめちゃなお祭り。

ホーリーように汚れてもいいTシャツを持って行こうと思って、いろんな色のこなかかるならやっぱり白Tかな、いろんな色をかけられて綺麗に色がつくかな、と白Tを準備した。

でも絵の具の色って白と黒以外のいろんな色を混ぜ合わせたらとりあえず最終的には茶色になる。そんな感じで色をたくさんかけられたTシャツも最終的には茶色になるのかな、とも考えて少し嫌に思った。

そんな時にアフリカの映画を見た。アフリカって色彩がとてもビビッドで派手な色使いをする。洋服や町並みや部屋の中。そしてそれは日本人の私の目からしてもとても鮮やかで美しい。そんな鮮やかではっちゃけた色使いができるアフリカの人たちは肌が茶色だ。派手な色と模様のはっきりしたワンピースはあの、肌が茶色の人たちだからこそ美しく着れている、さらに着ている人たちも美しく見せられているのかもしれないなと思った。色鉛筆の箱から一本取れと言われたら絶対最後に余って残ると言っても過言ではないような色である茶色って実は強いんだな、と感じた。茶色だって美しい。それならばホーリーで私のTシャツも茶色になったっていいじゃないか。

インドに行っても、人々の肌の色は茶色く、見かける様々なものの色彩は日本とは全く違う美しさがある。そこで実際にホーリーをした。子供や大人が混じり合って、びちょびちょでこなこなだけど色だらけになって純粋に楽しんでいる様子は圧巻だった。本当に楽しかった。現地のインド人たちはホーリーのお祭り期間が終わった後もしばらく色付きの洋服を着ていて、それもそれで趣があるなと思った。で、私のTシャツは置いといて、茶色についてもう少しだけ。

私たち日本人の顔はすごいいろんな色になって汚れて行ったのだけど、顔がもとから茶色いインド人たちは様々な色が肌に対して目立たず、私たちよりは汚れている感が薄かった。茶色がいろんな色を吸収してくれるのか、とそれもまた不思議に思った。

また、最終形ということについて考えていた時に、料理について思い当たった。お弁当の中身が茶色ばっかりだと、彩りはないけれど、絶対美味しいやつやん!って思う。茶色い料理は基本的に絶対美味しい。玉ねぎを長時間炒め続けると最終的には茶色いスープ状のモノになる。玉ねぎに限らず大方の野菜や肉を加熱し続けると最終的には茶色っぽい色になるのではないだろうか。

やはり茶色は強い。思えば土だって茶色だし、地球を三色で表すと、青と緑と茶色だろう。茶色だって美しい。と、人と色が混ざりあうホーリーというインドのお祭りをきっかけに、茶色が持つ、私たちがいつもは無視している神秘的な力について思いを馳せた。

気になる私の白Tシャツは、結局はいろんな色が、あまり混じり合わずに重なったからいい色合いになったけど、洗濯すると以外と綺麗に取れて、逆に赤色だけが取れなくて全体的に薄ピンクのTシャツになったのだった。