コマ切れその2

端切れの思想

 

ダウンジャケットは人の輪郭を大きくする。そしてその仕方がコートよりも柔らかく大きなものにする仕方。ベイマックスとか、ゴーストバスターズに出てくるマシュマロおばけみたいに。地下鉄で両隣に人が座っている席に座るのはあんま好きではない。けどその両隣がダウンジャケットだとふわっとした感触がして、さらに自分がその場所にすっぽりおさまる気がする。自分を収めたら沈んで行くから。

本来の人の輪郭の外にはみ出すようなダウンジャケット。でも押すとその本来の輪郭の方に、反発なく収まっていってくれるダウンジャケット。間にはすっぽりと座れる。

 

本屋で、まじかるなアイテムを発見してしまった。金色の、ボロボロに古びた小さな箱。あまり人が通らないしない通路の本棚の中に、面出ししてる本の狭間に。新品の本屋なのにそのボロボロな感じがすごく魔法っぽい感じを醸し出してる。魔法というか、まるで本当におとぎ話の中のアイテムか、映画の中で出てくる別世界に通じるアイテムっぽすぎる。

そんなものを見つけてしまった世界なのでそれを見つけたその世界がもうパラレルワールドに来ちゃったかと思って一瞬目を疑いつつ胸が高鳴った。

 

サウンドオブミュージックでジュリーアンドリュースが歌う歌、I have confidenceを口ずさんで駅に向かって歩いていた。駅に着いて改札をくぐってエスカレーターに乗ってる時に、ドレミの歌英語版を口ずさんでいることに気づいた。本当に気づいたら曲が変わっていた(というか次に進んでいた)ので自分でもびっくり。、、サントラ、、??もしやその間にMy Favorite Things歌ってたりした?脳内にも無意識でも慣性の法則が働くのかもしれない。進み続ける法則、というか、再生すると止まらない、、、

 

定型文を何回もタイプし続けると、そのスピードが上がって行く。何も考えずにそれを猛速でタイプしていると、文字がブワァーっと自分から湧き出てきているような気がする。

何も考えずに高速で物事をしているとその行為が思考の速度を上回る、ように感じるという錯覚?

 

お風呂で本読んでたら次の日にその本カバンに戻すのを忘れた。いつも1冊か2冊、本がカバンに入ってる。毎日、仕事に行く時も仕事から帰る時も。読まなくてただ荷物になる日も。でも最近は電車に乗った瞬間に本を開いて、開いたまんま乗り換えを2回こなし、なんならエスカレーター乗ってる間までも開いて読んでたりするのがブーム。本の世界に夢中になってそこから抜けられない小学生みたいな気分、そんなふり。
Books are power ...if you read itって書いてある栞を本屋さんでもらい、確かに、と妙に納得して最近は前よりよく本を読んでいて、そのブームもきた。本は本当に私を強くしてくれる。本当に。食べたものが骨となり血肉となり私の体が作られるように、読んだものが、いろんな知識が、いろんな世界が、いろんな小さな気持ちや考えが、私の身となる。

物理的に本を持っていないその日、電車に乗って本がない!となったその時、とても弱く感じた。今戦ったら負けちゃうような。何に?